結論から言うと、手荒れと腸内フローラの関係を直接調べた研究は、僕が探した範囲では、確認できませんでした。いちばん近い、成人のアトピー性皮膚炎の研究でも、結果はまだ一致していません。
ただし、「腸を整えれば手荒れが軽くなる」と言える段階ではありません。この記事は、論文でわかっていることと、わかっていないことを分けたうえで、僕自身が思い当たることを正直に書いたものです。
▶ 前回の記事:25年以上続いた手荒れが軽くなった?花巻の美容師が、体の内側に目を向ける理由
こんにちは。岩手県花巻市の美容師、おいさんです。
前回は、25年以上悩んだ僕の手荒れが、断食と腸活のあとに軽くなった話を書きました。そのとき「研究では確かめていません」と書いたので、今回は、論文を探してみました。あわせて、前回の記事に書ききれなかった、僕の生活の変化も書きます。
手荒れと腸内フローラの関係は、研究で確かめられているの?
まず、手荒れは、原因が一つではありません。水や洗剤による刺激、アレルギー、体質など、いくつもの要因が重なることがあります。そのため、手荒れだけを取り出して腸と比べた研究は、とても少ないようです。
いちばん近い研究として、成人のアトピー性皮膚炎と腸内細菌を調べた、系統的レビュー(複数の研究をまとめた論文)があります。[1]
- 対象は15本の研究です。観察研究が6本、介入試験(菌などを使って変化を見る試験)が9本でした。
- 腸内細菌の「種類の多さ」は、アトピーの人と健康な人で、はっきりした差が見つかりませんでした。
- 一部の菌の種類に違いがあるという報告はありましたが、結果はばらついていました。
- プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌)の試験7本のうち6本で、症状のスコアの改善が報告されています。
- ただし著者は、証拠はまだ予備的で、現時点では、プロバイオティクスなどを治療や予防として勧めてはいません。
- 研究の約7割は、アジアの人が対象です。結果を、そのままほかの人に当てはめられるかは、わかっていません。
この論文だけでは、「腸が乱れているから皮膚に出る」のか、「皮膚の炎症があるから腸にも変化が出る」のかは、わかりません。研究の多くは、ある時点で比べた観察研究だからです。
そして、これはアトピー性皮膚炎の研究であって、手荒れの研究ではありません。僕の手荒れが、アトピーだったのかどうかも、僕にはわかりません。
手荒れの人の、皮膚の菌はどうなっているの?
腸ではなく、手の皮膚の菌を調べた研究はあります。デンマークの研究チームが、手荒れの患者50人と、健康な人50人の手を、3週間で5回調べました。[2]
- 患者のほうが、手の皮膚の菌の種類が少ない傾向でした。
- その傾向は、3週間の間、続いていました。
- 菌のバランスの乱れは、手荒れの重さとも関係していました。
これは、「手荒れの人は、手の皮膚の菌のバランスが違うかもしれない」という話です。腸の話ではありません。また、菌のバランスが乱れたから手荒れになったのか、手荒れになったから乱れたのかは、この研究では区別できません。
肌と菌の関係は、前回の「乾燥対策」の記事でも少し触れました。気になる方は、あわせて読んでみてください。
▶ 乾燥対策は肌と腸にも関係する?花巻の美容師が、洗い方と保湿の次に考えたいこと
食べ物を変えれば、手荒れは軽くなるの?
これも、「食べ物を変えれば手荒れが治る」とは言えません。
アメリカ皮膚科学会は、子どものアトピー性皮膚炎について、次のように説明しています。[4]
- 食物アレルギーは、アトピーの子どもに多いが、原因の食べ物をやめても、アトピーがおさまることはまれです。
- 基本は、入浴と保湿、悪化させるものを避けること、必要なときの薬です。
- 牛乳、卵、小麦、大豆、ナッツなどを長く除くと、栄養が足りなくなるおそれがあります。除く前に、皮膚科の医師に相談してください。
このページは、子ども向けです。大人にそのまま当てはめることはできません。それでも、「食べ物だけで、皮膚の状態が決まるわけではない」「自己判断で食べ物を除くのは、勧められない」という考え方は、参考になると思います。
寝ている間の状態は、皮膚と関係あるの?
睡眠と皮膚炎についての系統的レビューもあります。[3]
- 13本の研究のうち、10本がアトピー性皮膚炎か湿疹を対象にしていました。
- 皮膚炎が重いほど、睡眠が乱れやすい傾向がありました。いちばん強い要因は、かゆみでした。
- 睡眠の乱れと皮膚炎は、お互いに影響し合う関係だと整理されています。ただし、因果関係は確かめられていません。研究の多くが、ある時点で比べた観察研究だからです。
- この論文の中では、寝ている間の口呼吸と、アトピー性皮膚炎との関連を示した研究も、1つ紹介されていました。
つまり、睡眠や呼吸と皮膚の関係は、「関係があるかもしれない」と研究されている段階です。鼻炎や鼻呼吸と、手荒れを直接調べた研究は、今回確認できていません。
では、僕自身は、何に思い当たるの?
ここからは、研究ではなく、僕自身の体験です。測ったわけではありません。「思い当たること」として読んでください。
手荒れが軽くなったころ、僕の生活は、いくつか変わっていました。
- 腸活と、16時間断食。前回書いたとおりです。
- お昼ごはんが変わった。痩せるために、お昼を菓子パンから、おにぎりなど、お米中心にしました。
- 食べる量が減った。小麦粉、バター、砂糖、植物油を、絶ったわけではありません。ただ、そんなに食べなくなりました。たまに食べたくなります。美味しいですからね(笑)。
- 1食減ったぶん、残りの食事を意識するようになった。食事が2回になると、食物繊維など、とりたいものを、前より気にするようになりました。間食も、減りました。
- 睡眠の質が、上がった気がする。とくに、鼻炎持ちの僕が、手荒れが改善したころから、寝るときに鼻が通って、鼻呼吸しやすくなりました。
正直に言うと、気になることもあります。小麦粉やバター、砂糖などを食べたあとに、手荒れや湿疹が出ることが、たまにある気がするのです。ただ、記録をとっていないので、気のせいかもしれません。ほかの要因が重なっていた可能性もあります。
だから、「小麦やバターが手荒れの原因だ」と言うつもりはありません。研究でも、そこまでは確かめられていません。[4] 食物アレルギーが心配な方は、自分で食べ物を除かずに、皮膚科で相談してください。
それでも、体の変化に気づいたことで、食事も睡眠も呼吸も、全部まとめて見直すことになりました。どれが効いたのかはわかりません。でも、僕にとっては、その「全部まとめて」に意味があったと思っています。
手荒れで悩む人にとって、この話はどんな意味があるの?
- 手荒れと腸内フローラの関係は、まだ研究の途中です。「腸を整えれば治る」とは言えません。
- それでも、皮膚と菌、睡眠、食事を、少しずつ調べる研究は進んでいます。
- いちばん大事なのは、保湿、刺激を避けること、必要なときに皮膚科で相談することです。
- 生活の見直しは、そのうえで「プラスして考える」ものだと、僕は思っています。
花巻市で、手荒れや頭皮のかゆみ、髪の悩みで気になることがある方は、ご来店の際、またはLINEでお聞かせください。
次回は、予告していた、毎日のヘアケアや、これからの季節の髪の扱い方を取り上げます。美容師らしい話に戻りますので、お楽しみに。
よくある質問
Q. 腸活をすれば、手荒れは軽くなりますか?
A. そうは言えません。手荒れと腸内フローラの関係を直接調べた研究は、僕が探した範囲では確認できませんでした。近い研究である成人のアトピー性皮膚炎でも、結果はまだ一致していません。[1] 手荒れが続くときは、皮膚科で相談してください。
Q. プロバイオティクスやヨーグルトは、手荒れに効きますか?
A. 成人のアトピーでは、改善を報告した試験もありますが、著者は、現時点で勧めてはいません。[1] アメリカ皮膚科学会も、サプリメントの証拠は弱いと説明しています。[4] 食事の選択肢として取り入れるのはよいと思いますが、それだけで手荒れを何とかしようとは、考えないでください。
Q. 小麦やバター、砂糖は、やめたほうがいいですか?
A. 自己判断でやめることは、勧められません。長く除くと、栄養が足りなくなるおそれがあります。[4] 食べ物と症状の関係が気になる方は、皮膚科で相談してください。僕自身も、絶ったわけではありません。
Q. 睡眠や鼻呼吸を整えれば、手荒れは軽くなりますか?
A. わかりません。睡眠の乱れと皮膚炎が関係するという研究はありますが、因果関係は確かめられていません。[3] 僕の場合は、手荒れが軽くなったころに、睡眠も鼻の通りも変わった、という話です。
▶ 次の記事:髪質改善は、美容室だけで完結する?花巻の美容師が考える、ホームケアと髪質改善ストレートの役割
この記事を書いた人
おいさん
美容師歴28年。岩手県花巻市で、髪質改善ストレートとホームケアを通して、お客様の髪と向き合っています。
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参考にした資料
- Díez-Madueño K, et al. Gut Dysbiosis and Adult Atopic Dermatitis: A Systematic Review. J Clin Med. 2025;14(1):19.(系統的レビュー。15本の研究を対象。研究ごとの方法や結果にばらつきがあり、アジアの人が対象の研究が多い。原因と結果は確かめられていない。)
Gut Dysbiosis and Adult Atopic Dermatitis: A Systematic Review - PMCBackground/Objectives: Research on the relationship between gut microbiota (GM) and atopic dermatitis (AD) has seen a gr... - Nørreslet LB, et al. Skin Microbiome in Patients with Hand Eczema and Healthy Controls: A Three-week Prospective Study. Acta Derm Venereol. 2022;102:adv00633.(手荒れ患者50人と健康な人50人の手の皮膚の菌を調べた観察研究。腸ではなく皮膚の研究。原因と結果は区別できない。)
Skin Microbiome in Patients with Hand Eczema and Healthy Controls: A Three-week Prospective Study - Moafa TA, et al. The Impact of Sleep Dysfunction on Inflammatory Skin Diseases: A Systematic Review. Cureus. 2025;17(12):e99598.(系統的レビュー。13本の研究を対象。多くが、ある時点で比べた観察研究で、因果関係は確かめられていない。)
The Impact of Sleep Dysfunction on Inflammatory Skin Diseases: A Systematic Review - PMCSleep disturbance is increasingly recognized as a major comorbidity in chronic inflammatory skin diseases, driven by alt... - American Academy of Dermatology. Can food fix eczema?(子どものアトピー性皮膚炎向けの解説ページ。大人にそのまま当てはめることはできない。)
Can food fix eczema?Removing certain foods from your child’s diet can do more harm than good. Find out why.
※この記事は、論文の紹介と、筆者個人の体験を書いたものです。腸活、断食、食事、睡眠、鼻呼吸と、手荒れの変化との関係を示すものではなく、効果を保証するものでも、皮膚の病気の診断・治療を目的としたものでもありません。気になる症状がある方は、医療機関にご相談ください。断食や食事の制限は、持病や服薬のある方、妊娠中・授乳中の方は、自己判断で始めず、医師にご相談ください。感じ方や結果には個人差があります。

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