結論から言うと、強い疲れやストレスが続くと、髪に変化が出ることがあるのは確かなようです。ただし、「疲れ → 慢性炎症 → 髪の変化」という流れが、人で確かめられているわけではありません。
この記事では、僕がサロンで感じていることと、論文でわかっていることを、分けて書きます。
▶ 前回の記事:髪質改善は、美容室だけで完結する?花巻の美容師が考える、ホームケアと髪質改善ストレートの役割
こんにちは。岩手県花巻市の美容師、おいさんです。
お客様の「最近疲れが取れなくて」と、髪の変化は関係あるの?
美容師をしていると、お客様の変化が見えてきます。
「最近、疲れが取れなくて」
「子どもが寝たら、一緒に寝落ちしちゃって」
よく聞く言葉です。子育て中は、仕方ない部分もあります。ただ、そういうお客様の髪に、気になるサインが出ていることがあります。
- 急に増え始めた白髪
- 前髪やトップの、チリチリした短い毛
- 以前はなかった、変なうねり(クセ)
日々の疲れだけかもしれません。でも、体の中の状態が、髪にまで影響している可能性もあるのでは、と感じています。ただし、これは僕が日々の施術で感じていることで、見た目だけでは原因を決められません。髪の変化には、いろいろな原因があります。
ストレスと白髪は、研究で確かめられているの?
白髪とストレスの関係を、人で調べた研究があります。アメリカのコロンビア大学などの研究チームが、14人のボランティアの髪を、ごく細かく切って、色の変化を調べました。同時に、その人たちの毎週のストレスの記録と照らし合わせています。[2]
- ストレスが強い時期と、髪の色が抜けた部分が、重なる様子が見られました。
- 一度白くなった髪が、ストレスが減ったあとに、元の色に戻った例もありました。
- 仕組みとして、細胞の中のミトコンドリアの変化が関わっているのでは、と考えられています。ただし、これは数学のモデルから推測されたもので、直接証明されたわけではありません。
この研究は、参加者が14人と少なく、「ストレスで白髪が増える」と、一般に言えるところまでは、確かめられていません。また、何年も白髪の状態が続いている髪が、ストレスを減らして黒く戻る、ということでもありません。
疲れや体調の変化で、髪が抜けることはあるの?
あります。「休止期脱毛」と呼ばれる、髪が一時的に多く抜ける状態です。皮膚科の医師による総説では、次のようなことが、きっかけになりうるとされています。[3]
- 高い熱、出産、手術
- 慢性の病気
- 強い精神的なストレス
- 栄養の不足(鉄、亜鉛、ビタミンなど)
- 薬の影響
多くの場合、抜け毛は2〜6か月で落ち着き、そのあとに回復します。ただ、見た目が戻るまでには、12〜18か月かかることもあります。6か月より長く続く場合は、慢性的な状態と考えられ、原因を探る検査が勧められています。検査には、血液検査、甲状腺の検査、フェリチン(体内の鉄の貯蔵量の目安)などが含まれます。[3]
つまり、「疲れが取れない」「抜け毛が増えた」が続くときは、疲れのせいだと決めつけず、体の別の原因がないか、医療機関で確認することが大切です。髪は、体からの、わかりやすいサインの一つだと思います。
「慢性炎症」って、何?
炎症というと、傷口が赤く腫れる、というイメージがあると思います。あれは、体が傷を修復しようとする反応で、必要なものです。
問題になるのは、「慢性炎症」です。痛みも、熱も、はっきりした自覚症状もないまま、体の中で、静かに炎症が続く状態です。僕は、これを「ボヤが続いている状態」のように、イメージしています。
国際的な研究者による論文(見解をまとめたもの)では、全身的な慢性炎症は、心臓や血管の病気、糖尿病、がんなど、多くの病気に関わるとされています。その要因として、感染、運動不足、食事の乱れ、心理的なストレスなどが挙げられています。[1]
ただし、この論文は、髪については、触れていません。「慢性炎症が、髪の変化の原因になる」という話は、僕の想像の部分が大きく、人で確かめられた話ではありません。
では、僕自身は、何をしているの?
少し前まで、僕は、膝の裏が痛かったんです。激しい運動はしていません。仕事中、長時間、立っているくらいです。立ち仕事の負担や、血流の滞りもあると思いますが、「これは何だろう」と考えるうちに、「慢性炎症」という言葉にたどり着きました。
そこで、僕は、次のようなことを続けています。
- 腸活:納豆などを、毎日とっています。
- 食べない時間をつくる:16時間断食を、続けています。
- 足裏のマッサージ:本当はウォーキングをしたいのですが、最近は、クマが怖くて(笑)。その代わりに、足裏と足のマッサージを続けています。
その結果、膝の裏の痛みは、ほぼ気にならないレベルまで改善しました。疲れやすさも、変わったと感じています。ただ、これが慢性炎症に関係していたのか、僕は測っていません。体重が減ったことや、マッサージで血流が変わったことなど、ほかの理由かもしれません。あくまで、僕の体験です。
断食は、誰にでも合うものではありません。持病や服薬のある方、妊娠中・授乳中の方などは、自己判断で始めず、医師にご相談ください。
疲れと髪の変化を考える人にとって、この話はどんな意味があるの?
- 強い疲れやストレスが続くと、髪に変化が出ることは、あるようです。
- ただし、白髪も抜け毛も、原因はいろいろです。見た目だけで、判断しないでください。
- 疲れや抜け毛が続くときは、体の別の原因がないか、医療機関で確認してください。
- そのうえで、食事、睡眠、動く時間など、生活を見直すことは、できることの一つです。
花巻市で、髪の変化や、髪のお悩みで気になることがある方は、ご来店の際、またはLINEでお聞かせください。
次回は、僕が育毛を考える中で調べた、ポリアミンとポリフェミンのことを書きました。
▶ 次の記事:ポリアミンやポリフェミンは髪に関係あるの?花巻の美容師が、納豆とさつまいもの葉を調べてわかったこと
よくある質問
Q. 疲れがたまると、白髪が増えますか?
A. そうとは言い切れません。人で調べた研究はありますが、参加者は14人と少なく、一般に言えるところまでは確かめられていません。[2] 白髪には、年齢や体質も関係します。
Q. 疲れやストレスで、抜け毛が増えることはありますか?
A. あります。強いストレスや病気、栄養不足などをきっかけに、髪が一時的に多く抜ける「休止期脱毛」があります。多くは2〜6か月で落ち着きますが、長く続く場合は、医療機関で原因を調べてください。[3]
Q. 腸活や断食で、慢性炎症は減りますか?
A. わかりません。僕は、自分の体験として続けていますが、慢性炎症を測ったわけではありません。この記事で紹介した論文でも、腸活や断食の効果を、確かめたものではありません。
Q. どんなときに、医療機関に相談すればいいですか?
A. 疲れが長く続くとき、抜け毛が急に増えて、6か月以上続くとき、頭皮に炎症があるときなどです。原因を調べる検査には、血液検査や甲状腺の検査などがあります。[3]
この記事を書いた人
おいさん
美容師歴28年。岩手県花巻市で、髪質改善ストレートとホームケアを通して、お客様の髪と向き合っています。
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参考にした資料
- Furman D, et al. Chronic inflammation in the etiology of disease across the life span. Nat Med. 2019;25(12):1822-1832.(見解をまとめた論文(Perspective)。髪については触れていない。)
Chronic inflammation in the etiology of disease across the life span - UCL DiscoveryUCL Discovery is UCL's open access repository, showcasing and providing access to UCL research outputs from all UCL disc... - Rosenberg AM, et al. Quantitative mapping of human hair greying and reversal in relation to life stress. eLife. 2021.(14人の髪を調べた研究。参加者が少なく、仕組みは数学モデルによる推測。コロンビア大学の解説記事で内容を確認。)
It’s True: Stress Does Turn Hair Gray (And It’s Reversible)A new study from researchers at Columbia University is the first to quantitatively link psychological stress to graying ... - Bergfeld WF, Mulinari-Brenner F. Shedding: How to manage a common cause of hair loss. Cleve Clin J Med. 2001;68(3):256.(医師向けの臨床の総説。2001年の論文で、古い。)
https://www.ccjm.org/content/68/3/256.full.pdf
※この記事は、論文の紹介と、筆者個人の体験と考えを書いたものです。疲れ、慢性炎症、腸活、断食と、髪の変化との関係を示すものではなく、効果を保証するものでも、病気の診断・治療を目的としたものでもありません。気になる症状がある方は、医療機関にご相談ください。感じ方や結果には個人差があります。


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