乾燥対策は肌と腸にも関係する?花巻の美容師が、洗い方と保湿の次に考えたいこと

結論から言うと、秋冬の乾燥対策の土台は、洗い方と保湿です。肌にすむ微生物や腸との関係も研究されていますが、腸活が保湿の代わりになる、と言える段階ではありません。

ただし、「肌と腸には、つながりがありそうだ」ということまでは、研究で調べられています。今回は、わかっていることと、まだ言えないことを分けてお話しします。

▶ 前回の記事:腸活は髪にも関係する?花巻の美容師が、腸にも目を向ける理由

こんにちは。岩手県花巻市の美容師、おいさんです。

前回の最後に、次は毎日のヘアケアの話をすると書きました。ところが、秋が深まって空気が乾いてくると、肌のつっぱりやカサつきが気になってきます。そこで今回は、先に乾燥の話を挟ませてください。

僕は16時間断食をきっかけに、ミトコンドリアや腸について調べるようになりました。そこから髪や頭皮にも目を向けるようになり、今は肌の乾燥も、表面のケアと体の内側の両方から考えてみたいと思っています。

毎日の保湿を土台にしながら、肌にいる微生物や食生活にも目を向ける。そんな乾燥対策のお話です。

乾燥対策は、まず何から見直す?

空気の湿度が下がる秋冬や、暖房を使う室内では、肌の乾燥が起こりやすくなります。[2]

肌のバリアは、家でいえば外壁のようなものです。外壁が傷んでいるときに、部屋の中だけをきれいに飾っても、なかなか落ち着きませんよね。だから最初に見直したいのは、特別な美容法よりも、洗い方と保湿のタイミングです。

米国皮膚科学会が紹介している、基本的なケアを挙げてみます。[1]

  • お風呂やシャワーは、5〜10分ほどを目安に、熱すぎないお湯で。
  • 肌を強くこすらず、洗浄料は必要な部分に穏やかに使う。
  • 洗浄料や保湿剤は、低刺激で、香料を含まないものを選ぶ。
  • 洗ったあと、肌が少し湿っているうちに保湿する。
  • 乾燥が強い部分は、ローションだけでなく、クリームや軟膏タイプも選択肢にする。
  • 室内の空気が乾くときは、加湿も一つの方法。

「何を足すか」に加えて、「洗うときに負担をかけていないか」。この視点を持っておくと、毎日のケアを見直しやすくなると思います。

肌フローラは、乾燥と関係があるの?

肌フローラとは、肌にすむ細菌などの微生物の集まりのことです。

菌と聞くと取り除きたくなるかもしれませんが、肌にすむ微生物には、皮膚の免疫と関わるものもいます。たとえばマウスの研究では、表皮ブドウ球菌が皮膚の免疫反応に働きかけ、病原性のある真菌への防御を助けることが報告されています。[3]

ただし、これは「その菌を増やせば、人の乾燥肌が治る」という話ではありません。

人の乾燥肌についても、保湿剤を5週間使ったあと、肌の水分量やバリアに関係する指標とともに、皮膚の微生物の構成が変化した研究があります。[4]

ここで大切なのは、肌の状態と肌フローラは関わり合っている一方で、この研究だけでは「菌が変わったから保湿された」と、原因の順番までは決められないことです。

僕が日常のケアにつなげるなら、まずは洗浄の刺激を抑えて、保湿を続けること。菌だけを狙って何かを増やすよりも、肌そのものを丁寧に扱うことから始めたいと思います。

腸内フローラと肌にも、つながりはあるの?

腸と肌の間には、免疫や、微生物がつくる物質などを介した関係があるのではないか、と研究されています。こうした関係は「腸―皮膚軸」と呼ばれます。

特定の乳酸菌を使って、腸の微生物や炎症に関係する指標の変化を調べた研究もあります。ただ、仕組みの検討には、人の試験だけでなく培養細胞の実験も含まれています。人の乾燥肌への効果が、すべて説明できたわけではありません。[5]

肌の乾燥に近いテーマでは、乾燥やしわのある41〜59歳の110人を対象に、特定の乳酸菌「Lactobacillus plantarum HY7714」を12週間摂取する、プラセボ対照の試験が行われています。肌の水分量の増加や、水分が逃げる量に関する改善が報告されました。[6]

興味深い結果ですが、調べたのは、特定の菌株を決められた量で摂取した場合です。企業所属の研究者も参加しており、この一つの試験だけで、広く結論を出すことはできません。

普段のヨーグルトや納豆、どんな乳酸菌サプリでも同じ結果になるとは限りません。プロバイオティクスの働きは菌株によって異なり、すべての発酵食品で同じ健康効果が確認されているわけではないからです。[7]

腸と肌の関係は気になる。でも、腸のケアが保湿の代わりになるわけではない。「腸活しているから、保湿はお休み」は、残念ながら通りません(笑)。

今の僕は、このくらいの距離感で捉えています。

この季節、どんな取り入れ方がいい?

乾燥が気になるときは、まず洗い方と保湿を見直す。そのうえで、食事の内容にも目を向けてみる。順番は、この通りでいいと思います。

食事については、肌のために何か一つを大量に食べたり、急に制限したりするよりも、いつもの食事が偏っていないか確認するところからで十分です。

発酵食品も、好みや体調に合うものを、食事の一部として楽しむ。これは乾燥を治すための処方ではなく、無理なく食生活を見直すための、僕の提案です。

一方で、かゆみや赤みが続く、ひび割れがある、保湿を続けても改善しない場合は、皮膚科で相談してください。日々のケアだけでは対応しきれないこともあります。[1]

頭皮のことにも、つなげて考えていい?

美容師としては、肌の話を頭皮にもつなげて考えたくなります。

ただし、ここで紹介した肌の研究から、「腸活で頭皮の乾燥が改善する」「髪が生える」とまでは言えません。顔や体の肌で調べた結果を、そのまま頭皮や育毛の効果に置き換えないようにしたいところです。

肌や頭皮の調子が気になるとき、使うものだけでなく、洗い方や食生活にも目を向けてみる。僕が美容師として伝えていきたいのは、そんな日々のケアの考え方です。

乾燥の季節に、まず何から始める?

空気が乾く季節。まずは今夜、洗うときのお湯の温度と、お風呂上がりの保湿から見直してみませんか。

肌や頭皮の乾燥、髪のパサつきなど、気になることがある方は、花巻市のサロンでのご来店の際、またはLINEでお聞かせください。

次回は、前回予告した、毎日のヘアケアや、これからの季節の髪の扱い方を取り上げます。美容師らしく、手を動かす話に戻りますので、お楽しみに。

よくある質問

Q. 腸活をすれば、肌の乾燥は治りますか?

A. そうは言えません。腸と肌の関係は研究されていますが、腸のケアが保湿の代わりになると確かめられたわけではありません。まずは、洗い方と保湿を見直してください。かゆみや赤みが続く、ひび割れがある、保湿を続けても改善しない場合は、皮膚科で相談してください。[1]

Q. 乾燥対策として、まず見直すことは何ですか?

A. 洗い方と保湿のタイミングです。熱すぎないお湯で、短めに入浴し、洗ったあと、肌が少し湿っているうちに保湿します。乾燥が強い部分は、クリームや軟膏タイプも選択肢になります。[1]

Q. ヨーグルトや納豆、乳酸菌サプリで、肌はうるおいますか?

A. 食事の選択肢として取り入れるのは、よいと思います。ただ、紹介した試験は特定の菌株を使ったもので、普段の食品や市販のサプリメントに、そのまま当てはめることはできません。サプリメントを使いたいときは、医師や薬剤師にご相談ください。[6][7]

Q. 頭皮の乾燥や育毛にも、腸活は効きますか?

A. そうは言えません。この記事で紹介した研究は、顔や体の肌を調べたもので、頭皮の乾燥や発毛への効果を確かめたものではありません。頭皮のかゆみや赤みが続くときは、皮膚科で原因を確認してください。[1]

▶ 次の記事:25年以上続いた手荒れが軽くなった?花巻の美容師が、体の内側に目を向ける理由


この記事を書いた人

おいさん
美容師歴28年。岩手県花巻市で、髪質改善ストレートとホームケアを通して、お客様の髪と向き合っています。

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参考にした資料

  1. American Academy of Dermatology. Dermatologists’ top tips for relieving dry skin.(入浴・洗浄・保湿のしかたと、受診の目安)
  2. American Academy of Dermatology. Dry skin: Overview.(低湿度や暖房など、乾燥の原因)
  3. Naik S, et al. Commensal-dendritic-cell interaction specifies a unique protective skin immune signature. Nature. 2015.(マウスを用いた、皮膚の常在菌と免疫の基礎研究。人の乾燥肌への効果を示すものではありません)
  4. Alteration of barrier properties, stratum corneum ceramides and microbiome composition in response to lotion application on cosmetic dry skin. Sci Rep. 2022.(保湿に伴う、肌と微生物の変化を調べた研究。原因の順番までは示せません)
  5. Regulatory effects of Lactobacillus plantarum HY7714 on skin health by improving intestinal condition. PLoS One. 2020.(腸と肌を結ぶ仕組みの検討。培養細胞の実験を含みます)
  6. Lee DE, et al. Clinical Evidence of Effects of Lactobacillus plantarum HY7714 on Skin Aging: A Randomized, Double Blind, Placebo-Controlled Study. J Microbiol Biotechnol. 2015;25(12):2160–2168.(特定の菌株を用いた12週間の試験。一般的な食品や他の製品に、結果をそのまま当てはめることはできません。企業所属の研究者が関わっています)
  7. NIH Office of Dietary Supplements. Probiotics — Fact Sheet for Health Professionals.(菌株ごとの違いと、発酵食品について)

※断食をきっかけにミトコンドリアや腸へ関心を持った経緯は、筆者自身の体験に基づきます。この記事は、腸活による乾燥肌の改善や発毛効果を保証するものではなく、皮膚の病気の診断・治療を目的としたものでもありません。気になる症状がある方は、医療機関にご相談ください。効果や感じ方には個人差があります。

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